なぜアートではなくデザインか
保護者の方にお話を伺うと、「アート系の教室を探していた」という方がほとんどです。
子供に絵が上手になって欲しい、手先が器用になって欲しい、という親御さんの思いですので、アートでもデザインでも「それ系」であれば先生のキャラや教室の雰囲気で選ばれるといいと思います。
でもせっかく習うのでしたら将来役に立つことの方がいいと思いませんか?
アートとデザイン、似ているようで違います。
いきなり質問ですが、あなたはアートをどれだけ持っていますか?
リビングに飾る絵や、旅行のお土産に買った置物などがご家庭にあるアートでしょうか。
いずれにせよ美術鑑賞や骨董集めが趣味という人でなければ、アートは生活に密着している物ではありません。
一方で、あなたが見ているスマートフォンやPCの本体は誰かがデザインしたものです。
画面に見えるアプリケーションのアイコンも、いえ、アプリケーションそのものもデザインされた物です。
座っている椅子も、天井についている照明も、扉の取手も洋服も財布もお金だって!みんなデザインされた物です。
身の回りにある全ての工業製品には“デザイン”が関係しているのです。
これだけでアートではなくデザインという意味が大体お分かりいただけたでしょう。
次に考え方です。
芸術を生み出すには一切の妥協を許さず、最高を目指すべきです。
デザインも同じです。
違うのは、「誰のために」かということです。
自己表現のために一切の妥協を許さず……これがアートです。
それに対し最終的に使う人や依頼をしてきたクライアントのためにするのがデザインです。
デザインは人に認められて初めて価値があるものになります。
例えば1枚の絵(デザイン)を描いても、誰も欲しい人がいなければ意味がありません。デザイナーは人に欲しいと思わせる絵を描かなくてはいけません。
アーティストだったら、「世の中がまだ自分に追いついていない」でもいいのです。
人の役に立つにはどうしたらいいのか、社会のためになるにはどうするのか、それを考えるのがデザインです。
アートとデザインの違いについて、お分かりいただけたでしょうか。
お絵描きや工作の延長線上には「デザイン」があります。
国語や算数や英語や運動にも負けないくらい大事な教育だと思いませんか??